神の言葉
今週の火・水曜日にムルシアのパラガ劇場でミゲル・セルバンテスの古典演劇『ヌマンシア』が公演された。パラガ劇場で古典演劇だって?そうなのだ、しかも、日本語での上演だ。ああ、それなら分かる。パラガ劇場はスペインの古典劇しかもセルバンテスの作品を日本語で上演することで我々を驚かせてくれたんだ。これはすごいことだ。劇団クセックACTは新興演劇祭(失礼、アルマグロ国際古典演劇祭と言いたかったのだが)で、すでに3回も公演している。アルマグロ国際古典演劇祭の委員長の依頼によって、3回目のアルマグロ公演で『ヌマンシア』を初演したのだ。興味深いことに、この劇団クセックACTはスペインの古典劇を中心に活動している。これがわれわれの関心を呼ぶ結果となっている。冗談はさておき、パラガ劇場の方針は「伝統の型に嵌らない」舞台を作ることであるが、この点において、パラガ劇場が日本人によって演じられた『ヌマンシア』を1つのコード化と異なるパラメーターを持つ作品として上演した意義がある。
クセックACT、考えさせられた舞台
第25回アルメリーア古典演劇祭で日本の劇団が土曜の夜、字幕付でセルバンテス作『ヌマンシア』を上演
セルバンテスは30歳代に古典演劇の法則に則って『ヌマンシア』を書いた。何度もヌマンシアを征服しようとしたローマ軍だったが、執拗に抵抗するヌマンシアに対して数ヶ月の包囲戦を仕掛け、その結果得たものは灰燼に帰したヌマンシアだった。この演劇は英雄主義の頂点に立つ演劇だと考えられてきた。
毎回、何事かが起こるスペイン公演。今回は飛行機に悩まされました。
昨年も帰国のとき、バラさんの荷物が届きませんでしたが、今回は行きの荷物が届かない!!
演出の神宮寺とスペイン在住の通訳さんの荷物が届かず、三日目にしてやっと手元に。衣装など舞台に必要な物がなかったのが幸いというか…。
ムルシアでは、舞台芸術学校にうかがい、校長先生の案内で学校見学、生徒の方々との座談会など、いつも以上に交流の機会にめぐまれました。
アルメリーアでは本番前夜の深夜一時まで照明の仕込み…。小さなハプニングはいくつもありましたが、120年の歴史を誇る「セルバンテス劇場」でセルバンテス作『ヌマンシア』を無事上演。スタンディングオベーションまでいただくことができました。
今回の公演は、昨年のアルマグロ古典演劇祭のときにオファーをいただき、そのためほとんどの衣装や舞台装置はスペインに保管してありました。公演が終わったので貴重な劇団の財産?は持ち帰らなければなりません。しかし!遙か遠い島国への輸送は高額…。となると、劇団員がスーツケース&手荷物にしっかりと押し込んで持って帰ることになるわけです。これも肉体訓練!?
その荷物を抱えつつ帰国の途についたわけですが、悪天候で飛行機が遅れトランジットのパリで五時間半の足止め。帰国は予定よりかなり遅れてしまいました。お約束のように荷物が一緒に帰ってこない人も。今回は4人分が帰りたくなかったようです。
スペインに限らず、いつも舞台を作り上げることは大変ですが、新しい人との出会い、そしてそこからフィードバックされる新たな表現の発見には心動かされます。
次は7/16~7/24の日程でアルマグロです。
演目は「ラ・セレスティーナ」
五年前とはキャストを大幅に変更しての公演です。こちらは6/25に関西外国語大学にて公演いたしますので、ぜひお越しください。
アルマグロで演劇祭始まる
ここ数日、アルマグロは、すべてを見て回ることは難しいほど、数々の文化的な催しに湧きかえる。
クッセクACTの日本人たちは勝者と敗者に思いを巡らせた『ヌマンシア』の上演で感銘を与える。
アルマグロ国際古典演劇祭が開催されて第1週、この間に上演された演劇のなかで最高の舞台を上げることは難しいことだが、確かに質の高さからいってクセックACTの『ヌマンシア』を上げることができる。彼らの上演はセルバンテスの劇作品を最高の舞台に仕上げ、すべての人の注目を浴びた。
神宮寺の『ヌマンシア』は造形的にも詩的にも完璧
クセックACTはセルバンテスの悲劇を大胆な表現主義で上演
10人の俳優の演技は非の打ちどころなし
愛国心的な内容を取り除き、戦争における名誉を賛美する一方で、その有効性に疑問を呈する。
1人の男が日常生活に屈しながら生きていることを意識しながら、さまようだけで、その檻から抜け出ることができないということは、何と悲しいことだろうか。生活に疲れ切った肉体と表情を浮かべた灰色のサラリーマンに、突然、一陣の嵐が襲う。命令を聞くだけの携帯電話とは別の世界、別の次元へと彼を連れ去る。こうしてサラリーマンが驚くまま、死における名誉について、最初の会話がメタフォリックに始まる。
クセックACT、パワフルな舞台でヌマンシアに新しい息吹
日本の劇団は表現力豊かなビジュアルな上演で成功
目を剥き、顔をしかめ、異星人となり、灰色の重い衣装に身を包み、もしくは身を隠し、まるでそれはみずからのテントを背負う避難民のようでもあるが、劇団クセックACTの俳優たちは鮮烈な姿で舞台に登場した。ただ1人、帽子をかぶりカバンを持った語り手が客席奥から現れた。2200年前に勃発した騒乱に対し、国連監視団がとある駅、それはアトーチャ駅でもいいのだが、そういった駅の彫刻の前に現れたのかどうか分からない。彼はかつて沖縄に、いまはイラクに、アメリカ軍が侵入してきたときと同じ状況を見つめている。
この瞬間、つまり、まさに傍観するしかない語り手の前に混沌とした世界が繰り広げられる瞬間、携帯の単調な着メロがなる。
日本のパワーと東洋のホラーがクセックACTの『ヌマンシア』を最高傑作に仕上げる
日本の劇団はアルマグロで3度目の成功
クセックACTの役者たちは強烈な演技で観客を魅惑
劇団クセックACTのアルマグロ公演は、いつも人々に衝撃を与える。今回で3度目の公演だが、『ヌマンシア』の上演でも最高の舞台を見せてくれた。
役者たちの身体的演技力、愛国心というテーマとは違った脚本、的確に意図された舞台美術、この3つが1つになって完璧といっていい舞台を作り上げている。ひとつひとつ取り上げていこう。
クセックACTの『ヌマンシア』は愛国心ではなく人間の尊厳に焦点
「泣くことと笑うことが好きな」スペイン人に関心を寄せる演出家
劇団クセックACTによって、ミゲル・セルバンテスの『ヌマンシア』が昨日から市立劇場で上演されている。翻訳担当の田尻陽一氏は「愛国心ではなく、人間の尊厳に焦点を当てた」と語り、続けて「この作品は間違いなく平和を志向している。なぜなら戦争になれば、人間は理性をなくし、狂気に陥り、揚げ句の果てには名誉も何もかもなくなるからである」と言う。

