日本のパワーと東洋のホラーがクセックACTの『ヌマンシア』を最高傑作に仕上げる
日本の劇団はアルマグロで3度目の成功
クセックACTの役者たちは強烈な演技で観客を魅惑

 劇団クセックACTのアルマグロ公演は、いつも人々に衝撃を与える。今回で3度目の公演だが、『ヌマンシア』の上演でも最高の舞台を見せてくれた。

 役者たちの身体的演技力、愛国心というテーマとは違った脚本、的確に意図された舞台美術、この3つが1つになって完璧といっていい舞台を作り上げている。ひとつひとつ取り上げていこう。


 まず演技力。10人の役者たちがあるときは個の演技、ある時は集団演技、さらにはコロスになる。ひとつのスペクトルによって自在に変化する演技は、舞台上にヌマンシアの住民が苦しみ、亡くなり、殺しあう風景を見事に描ききっていた。目が眩むほど統制が効いた、そして顔の表情や1つ1つの動きに強靱な身体性がみられる日本人の演技は、幕が開いた瞬間から観客を釘付けにした。12kgの衣装をまとった役者たちの演技はまさに肉体の限界への挑戦であり、衝撃的であり、一瞬たりとも目を離すことはできなかった。

 ローマに屈服するより自らの滅亡を選んだヌマンシアの物語に、背広とカバンを持った現代人が登場する。顔から疲労の色が伺えるサラリーマンと、1歩あるくだけで極悪非道を醸し出すローマの将軍の2人だけが、ハッキリと配役が決められている。ヌマンシアの住民は集団演技で表現され、しばしばコロスともなるが、城壁内に閉じこめられたヌマンシアの個々人をも演じる。友だち、戦士、母親、娘、妻、予言者、・・・こういったすべてが10人の肉体から発声されるのだ。

 脚色も面白い。しばしばこの作品の上演に際して謳われる愛国心を中心に置かず、クセックACTは人間の尊厳に焦点を与える道を選んだ。まさにそのとおりで、飢えに苛まれるヌマンシアの人々は、その代償に、勝利を見ることもなく、自らの死を決心するのである。

 舞台美術に関しては、いかに少ない道具で多くのことができるか、最高のお手本といえる。それぞれの装置は単純なモノである。しかし、それぞれが意味を持っている。明白な力強さを持っている。これらが相まって、日本的な美意識と恐怖心とを視覚化した舞台を創造していた。照明、スモーク、色遣い、仕掛け、これらがクセックACTの上演を最高の舞台に仕上げていた。この舞台を見逃すことは、決して許されないことだろう。

パトリシア・セラノ記者