神の言葉

 今週の火・水曜日にムルシアのパラガ劇場でミゲル・セルバンテスの古典演劇『ヌマンシア』が公演された。パラガ劇場で古典演劇だって?そうなのだ、しかも、日本語での上演だ。ああ、それなら分かる。パラガ劇場はスペインの古典劇しかもセルバンテスの作品を日本語で上演することで我々を驚かせてくれたんだ。これはすごいことだ。劇団クセックACTは新興演劇祭(失礼、アルマグロ国際古典演劇祭と言いたかったのだが)で、すでに3回も公演している。アルマグロ国際古典演劇祭の委員長の依頼によって、3回目のアルマグロ公演で『ヌマンシア』を初演したのだ。興味深いことに、この劇団クセックACTはスペインの古典劇を中心に活動している。これがわれわれの関心を呼ぶ結果となっている。冗談はさておき、パラガ劇場の方針は「伝統の型に嵌らない」舞台を作ることであるが、この点において、パラガ劇場が日本人によって演じられた『ヌマンシア』を1つのコード化と異なるパラメーターを持つ作品として上演した意義がある。

 ヌマンシアという町はローマ人に抵抗し、侵略される前に集団自決を最終決断した。ミゲル・セルバンテスの若書きの作品『ヌマンシア』はそういったヌマンシアの史実を語っており、スペイン内戦では愛国心を鼓舞するためにラファエル・アルベルティの手によって上演された。しかし劇団クセックACTの演出家と翻訳者の話によると、愛国心よりも名誉を前面に押し、われわれに日本の「切腹」や「腹きり」を思い起こさせようとしている。また、戦争自体の悲劇性や戦争による殺戮を際立てたせようという意図もある。

 舞台装置は現代的だが、形式的にはギリシャ悲劇によく似ている。しかし、リズムと時間という点からは実に静的で、別のコードを持っている。舞台装置は象徴的で、役者は全員、静止状態を印象づけるマントを被って登場し、そのマントによってある場合は戦争、ある場合は別の意味を持たせている。赤色の布は血を象徴し、実に現代的な音楽は演技を際立たせる。クセックの役者の演技でもっとも印象的なのは肉体の使い方である。特に、声域は非常に素晴らしい。

 舞台を理解できるように、スペイン語の字幕がついたが、我々の古典作品は別の言語で公演されるなら、パラガ劇場でも称揚に値することがわかった。これこそが「神の言葉」なのだ。